高校野球を7イニング制にして球児の負担を減らすべきという議論がいよいよ本格化してきました。賛否あるなか、元プロ野球選手らはそのほとんどが、この改革には反対しています。それは一体何故なんでしょうか。
高校時代は投手だったイチローも反対派。彼の美学に反するようです。一部では7イニング制の女子野球を好んでいるじゃないかという指摘もありましたが、イチローとしては男がやるという前提の話をされているのでしょう。
ちなみに甲子園では2028年100回大会から導入の可能性があるようです。(最終決定は未定)
反対派の元プロ野球選手一覧
桑田真澄や里崎智也も反対派です。
桑田はPL学園というちょっと別次元の環境を乗り越えてきたので、そもそもの忍耐力が我々一般人とは違う側面もあります。
里崎さんも反対。
上原浩治も反対。一方斎藤佑樹は賛成派。
江川卓は明言していませでしたが、負担は減るがドラマも減ると、どちらかというと反対派かもしれません。
江川卓は肩が万全だった高校時代が全盛期だったともいわれています。今の時代であれば肩も壊さずもう一段上の成績を残していた可能性もあるので、その方までルール変更に前向きではないというのは、やはり野球というのは9回ということに大きな意味があるんだと思います。
甲子園での球児酷使問題
9回→7回への変更は、まずここに触れておかなければなりません。
MLBでは先発投手の中4日酷使問題や、NPBでは100球越えによる酷使が指摘されることがあります。(肩は消耗品で、人生で投球できる数にはリミットがある、というのは共通認識)
ただし高校球児と大きく違うのは、プロ野球選手は酷使による不利益だけでなく、そこで生じる利益も享受できる点です。ここはTV等ではあまり語られませんがとんでもない違いです。
高校球児が炎天下で鎬を削る甲子園は確かに面白いです。しかしそこで発生する莫大な利益は、そのほとんどを大人たちが受け取っているという現実があります。
甲子園で頑張れば、プロのドラフトにかかったり良い大学に進学できたり実業団に入れたり、といった利益もありますが、それは別に他の高校スポーツでもあることです。甲子園というメガコンテンツの旨味は何故か大人たちのものであり、いわゆる利権となり高校野球界の影となっていました。
球児は合意の上で出場している、という声もありますが彼らは未成年です。刑事罰などの司法でも成人とは別の扱いをしていますし、であればここでも配慮してやるのが筋です。
チームメイトと集団で戦ううちに団結力は固まり、自身の健康や将来よりも勝利を優先してしまう球児は少なくないでしょうし、本当はもう投げたくない休みたいのに言い出せない球児だっているかもしれません。ダルビッシュは父親が介入して負担を軽減していたという話もあります。
気温上昇により熱中症のリスクも高まってきた昨今、せめて7イニング制にして負担を軽くしよう、というのがこのルール変更の主な狙いです。もっというと夏に屋外で試合するのもちょっと無理がある状況です。開催時期の変更も今後は議論の対象となるでしょう。
イチローらが反対する理由とは
・野球という競技が根底から変えられる
・9回と7回では配球や読みも変わってくる
・通算記録の価値が損なわれる
・自分たちはその過酷な環境を乗り越えてきた
・新しいものに対する抵抗感
野球は9回から逆算して戦術を組み立てるので、7回になれば様々なことが変わってきます。
先発投手であれば一打席あたりの出力を少し上げられることもあるでしょうし、一打者との対戦機会が減るとなれば配球も変わってきます。これは当然打者側にも同等の影響があります。補欠部員3年生が思い出出場する機会も減るでしょう。
ホームラン数や安打数みたいな通算記録は、条件が変わるので過去のものは参考記録のような扱いになるかもしれません。
あとは自分たちは乗り越えてきたという自負もあるでしょう。ただし、酷使しても壊れない頑丈さをどこまで競技力や才能に含めるかというのは複雑な問題です。
極端な例でいうと、佐々木朗希は昭和の過酷な環境であれば今ほど大成できていなかった可能性が高いです。逆に伊藤智仁なんかは今の時代だったらもう成績を残せていた気もします。一方MLBのティムリンスカムは5年程度の稼働でも壊れてしまいましたので、どうあれ持たない選手もいます。
年を取ってくると新たなことに対する抵抗感も生まれます。これはプロ野球選手だけでなく、私含めほぼすべての方がそうなってしまいます。イチローは統計を扱うデスクワーク組が守備位置や配球を考えることにも抵抗を感じていました。
熱中症対策であれば、イニング数ではなく開催時期を変えればいいというもっともな指摘もあります。これらはやはり利権も絡んできますので、折衷案や事故発生時の責任回避としての7イニングへの変更、というところだと思います。
強豪高は反対
強豪校は案の定反対の立場。
戦力を持て余し優位性が小さくなってしまうので、私が強豪校の監督でも反対すると思います。
強豪校に対するヘイトが集まっていますが、日本の野球文化を育み支えてきた功労者でもあるので、全否定するのも違う気がします。特に野球の競技人口は他のスポーツと比べてかなり減少傾向にあります。何とかいい塩梅の落としどころが見つかるといいですね。

