日本が誇る井上尚弥がメキシコの刺客アラン・ピカソを大差判定で退け勝利しました。一部ではピカソ頑張った、井上尚弥はフェザーでは厳しいといった声もあるようですが、私は別のことが少し引っかかりました。
この試合で井上尚弥はスーパーバンタム級4団体王座防衛を果たしました。私の採点ではフルマークか12Rのみピカソに振って119-109にポイントを振っています。
勝者を演じるピカソ
試合終了直後、圧倒的敗北を喫したピカソが手を上げて勝者アピール、わが軍の総大将井上尚弥は、喜ぶでもなく肩を落とすでもなく、まるでただ家の中を歩いているかのごとく無感情でコーナーに戻っていました。

井上尚弥としては、圧倒した自負と消化不良のもどかしさであの態度になってしまったんだと思いますが、次からの試合で判定になった場合の、一抹の不安につながりました。
この試合に関しては井上尚弥の圧倒的勝利なのでこれでいいのですが、仮にこれがフェザー級のタイトルマッチで相手がエスピノサやニックボールだった場合に同じことが起きたとしましょう。
ボクシングの試合ではおかしな判定が起きるケースが一定確率で存在します。特にアメリカで行われるメキシコ人絡みの試合は要注意です。リヤドシーズンもフューリー対ガヌー1は疑問の声が上がっていました。
ピカソ戦のように実質フルマークでボクシングレッスンできればいいですが、内容的に中差から小差だった場合、本来の勝者と敗者がひっくり返ってしまうことがあるのです。
日本的美徳のリスク
ここで勝者アピールをしておかないと、恐らく相手陣営にこぞって利用されてしまいます。片や歓喜の表情、片や無表情のコントラストを強調して
「試合後の態度をみても勝者は明らか」
「我々は勝った」
確実にこんなこをと言い出します。時間が立てばそれが既成事実化してしまうことだってあるかもしれません。
外国にいる対戦相手ボクサーのファンや、井上アンチはもっと酷い扇動を繰り返すでしょう。頭の良い井上尚弥のことなので、いらぬ心配かもしれませんが、嘘でも喜んでおいて悪意に対して備えておいがほうが良いような気がします。
ドネア戦では健闘をたたえ合う
これまでも判定までもつれた試合はありましたが、対戦相手のドネアが人格者であったりと、このような問題は発生しませんでした。
1戦目のドネア戦。
試合終了直後は、お互い検討を称え抱き合うのみでした。
ピカソ戦では相手からのリスペクトがなかったと言っているように、ピカソは一瞬ハグするのかな?ちょっと待ってみるか状態だったのですが、井上尚弥はピカソの動きを無視してコーナーへ戻っていきました。相当イラついていたんだと思います。
(控室で騒がれたりだとか、バンテージのまき直しを要求されたりだとか、試合前から既に怒りゲージが溜まっていた模様)
今はSNSも盛んで、インスタなんかでは自分のいい所だけを編集で残してまるで勝ったかのように発信する選手もいたりと、あの手この手でライバルを貶める手段があります。恐らくこれから判定の試合は増えてくると思いますので、ここは少し気を付けて欲しいところです。
判定までもつれたの理由は
井上尚弥にとってネガティブなことも含めて色々言われています。
・ピカソの身長とリーチと足のスタンスが長くて踏み込めなかった
・バンテージのせいでパンチ力が弱まった
・カルデナス戦のダウン以降、深く踏み込めなくなっている
・ピカソが思ったよりタフでディフェンスに長けていた
・ピカソがディフェンシブに戦っただけ
等々です。
個人的にはピカソのフレームの大きさとディフェンス重視のスタイルのせいかなと思っていますが、バンテージの影響は0ではないかもしれません。
(ただし同じ巻き方をしているであろう拓真選手はパンチパワーがないので、井上尚弥のパンチ力の秘密がバンテージにあるとも思いませんが)
あれだけ亀になってボディを遠ざけられては、必殺のレバーショットも簡単には届きませんし、顔面も常に両手で覆われているとなると、そうそう仕留めることは難しいです。ピカソは手を出していたという声もありますが、ほとんどが手打ちパンチであれでは隙は生まれないです。
個人的にはバトラー戦を思い出しました。バトラーは最後はKOされましたがダメージで倒れたというよりも、深いダメージを負うのが怖くなって嫌倒れしたようにも見えました。
世界レベルのボクサーに判定まで行くことを目標設定にされると、いくら井上尚弥といえども倒しきることは難しいです。
スタッツとジャッジペーパー
compuboxによるスタッツと、試合のジャッジペーパーは以下

圧倒しています。

117-111は相当おかしいです。
あと3つ取られてたらドローだったということですからね。如何にボクシングの判定が危ういかとうことがわかります。スタッツ上はフルマークの120-108か119-109が妥当なので、いくつか悪条件が重なると判定はひっくり返されます。
ただフェザー級の選手は勝ちに来るので、井上選手が効かされる可能性が出てくる一方、ピカソ戦と違い倒せてしまう可能性も高まるかもしれません。というかフェザーであれば内容は今ほど問われなくなり、心理的には少し楽になると思います。(無敗の重圧はのしかかってきますが)
フェザー級挑戦が待ち切れません。

