「シェイドラエフはナチュラルじゃない」朝倉未来ファンの悲鳴の正体

朝倉未来vsシェイドラエフの試合が、2025年RIZIN師走の超強者祭りにて行われました。

スープレックスでくるくる回される姿は、昔吉田英彦がジョシュバーネットにやられたのを彷彿とさせました。あれはレスリング力とフィジカルに相当な差がないとまずできないです。

それら部分的な力量差だけでなく、総合格闘技の実力差を感じ取り、どうあれ負けることはないと判断してからでないと通常は今回のような「投げで魅せプレイ」みたいなことはできないですが、シェイドラエフは開始直後にはもうパフォーマンスに走っていましたので、良い意味でクレイジーな性分も持ち合わせているのかもしれません。

(あるいは事前の朝倉未来を分析する段階で実力差を確信していたか)

一応結果を申し上げておくと、戦前の予想通りシェイドラエフの勝利。

(内容に関しては、ここ数戦上り調子だった朝倉未来がもう少し何かできると期待していたファンも多かった気がします)

シェイドラエフ強し!で物語は締めくくられる、と思いきや、どうも朝倉未来ファンを中心に不穏な動きも見られました。

シェイドラエフはナチュラルじゃない

ナチュラルじゃないというのは、ドーピング類の薬物をやっているいのではないかという、業界のスラングみたいなものです。そういった批判めいた言葉が多々見受けられました。

これはちょっとシェイドラエフがかわいそうですね。

まず原則として疑わしきは罰せず、というものが前提にあります。

次いでこの業界には、「黒に近いグレー」というケチがつくこともあるのですが、それは例えばMLBであればミッチェル報告書で名前が挙がったけどオフィシャルでは処分されていないとか、格闘技でいうと同じフィジカルトレーナーに師事する別の選手が薬物で陽性反応が出たとか、そういう明らかな客観的証拠が揃った場合に適用されるラベリングです。

現状のシェイドラエフに関しては「体付きが怪しい」「パワーがありすぎる」「強すぎる」だのの、都合のいい状況証拠を並び立てているだけに過ぎないので、これではシェイドラエフが不憫です。

本人の耳に届かないといいのですが、カタカタとエゴサーチをするタイプだったら目にするのも時間の問題かもしれません。

朝倉未来ファンの思考を考察

負けた理由が実力差ではなく(あるいはそれだけでなく)、卑怯なことをされたから負けた、というバイアスの影響が大きいんだと思います。

かくいう私も大ファンである井上尚弥が、安パイと思われていたメキシコのカルデナスにダウンを喫する苦戦(といってもその場面以外は圧倒していましたが)した際には、「カルデナスは重要な試合のためにキメてきたのではないか…」と考えてしまったのも事実です。

こういうファンならではの、都合のいい考えというのは往々にして客観性をかいてしまいます。

(とはいえカルデナスの場合は、過去の試合とのパフォーマンスの比較という別の要素も考慮はしていました)

UFCでも筋肉ムキムキ血管バキバキはいます

UFC選手と比べて怪しい、という声もあるみたいですが、別にUFCにもバキバキな選手はいます。

バックリー。

フィジエフ

ウスマン。

彼らは100%クリーンでナチュラルだ、ということは言いたいわけでく、UFCにいったらシェイドラエフは縮む、あちらでは今のフィジカルを維持できない、と一部の論調が根拠不明ということを言っているわけです。

(その論調というのも、将来的にシェイドラエフがUFCに挑戦して惨敗した場合の保険だと思いますが)

勿論UFCで弱体化する可能性もあるわけですが、あくまで可能性の話でありますし、他の諸要因も絡み合った結果なわけですから、今の段階でUFCに行って負けてもノーカン、みたいな後ろ向きな考えは格闘技ファンとして残念な思いがあります。

スープレックスは理不尽パワーの結果ではない

抱えあげられた、スープレックスされたからシェイドラエフは人間離れしたパワーをしている、ということにはならないです。

冒頭にも申し上げた通り、これはレスリング力にも起因しています。

アマチュアレスリングの試合では、スープレックスや相手をリフトする攻防が展開されることがあります。腕力や怪力だけでやっているのではなく、テコの原理で自分の体に乗せてまわしていたり、米俵を担ぐようにうまく負荷を分散していたりと、そこには技術も動員されています。

シェイドラエフのスタミナがおかしい、ありえないという声もありましたが、アマチュアレスリングは一日に何試合も行い、なんだったら計量も前日ではなく当日計量だったりしますので、相手を何度も持ち上げたからシェイドラエフは怪しい、というのであれば、オリンピックのレスリング選手は全員怪しい、ということになってしまいます。

オリンピック選手には厳しい検査を課しているわけですから、スタミナやパワーの面でいっても、グレーであることを示す状況証拠としては、ちょっと成立していない気がします。

シェイドラエフのUFC挑戦は

今のところ本人はUFCに前向きではなく、当面の間RIZINを主戦場にするようです。

(ただし契約した試合数だとか、ギャラを上げたい思惑だとか、RIZINファンに向けたサービスだったりもありますので、どこまでが本音かは分かりかねる部分もあります)

といっても彼はまだ若く25歳ですから、いいキャリアを築き続ければ、いずれUFCに挑戦して次の名誉を欲するときが来る可能性は高いです。

ちなみに今のUFCはライト級王者がトプリア、フェザー級王者がボルカノフスキーになります。トプリアはPFPでも2位とトップ級なので、「今のシェイドラエフ」では厳しいと思います。一方ボルカノフスキーはタイミングよく王座に返り咲いたものの、強さとしては大分下降気味ではありますので、減量してある程度強さを支持できるのであれば、ここは狙い目とも言えます。

(次のフェザー級王者候補のディエゴロペスも現状長期政権を築けるほどの強さは感じないです)

格闘技というのは対人競技なので、いくら自分が強くなっても、相手がもっと強くなっていては勝つことはできません。タイミングというのは本当に重要で、大したことない選手がベルトを負けたり、逆にトニーファーガソンのようにランカー相手に10連勝とかする選手でも暫定王者にしかなれなかったりと、選手本人の強さとは無関係に、人生を左右してきます。

シェイドラエフにとっていいタイミングが訪れるよう、応援したいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です